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  • 執筆者の写真太郎 西邑

動きの探究インタビュー(9)「子どもができて、大人ができないこと」を取り戻す

子どものからバレエを習い、2019年まで秋田のミュージカル劇団「わらび座」で役者兼ダンサーとして活動、和洋の踊りを通して体に向き合いつづけてきた金子梓紀(かねこ・あずき)さん。

みかさと知り合い、レッスンの話を聞いて興味をもったそうですが、まずはどんなところがポイントだったのでしょうか。


筋トレとは全然違う疲労感

金 子:体の動かし方といっても、そんなに真剣に向き合ってはいなくて……

でも身体表現が仕事なので、やっぱり自分の体を細かく見る。この筋肉はこう持っていけばこう動くとか、そういうことは無意識に考えていた。

みかさ:うんうん。

金 子:その話と、この大人レッスンの話はリンクしてるなと感じたのかな。

じゃあ、ちょっとちゃんと学んでみようかな、と思った。

みかさ:受ける前はどんなイメージでした?

まず「発達の動き」って何? っていう感じだったと思うんだけど。

金 子:もっといっぱい動くのかなと思ってたんですよね(笑)。

体をもっとたくさん動かすと思ってた。いや、今も動かしながら学んでるんですけど。今まで考えてきたことって、筋肉をどう使うか……根性論、筋肉論みたいな。筋トレではないけど、この筋肉を使ってこの手を動かす、この筋肉で足のここを動かす、背骨の真ん中の辺りをへこましたらこういう姿勢になるとか。で、このレッスンを受けたら、全然違う方向からのアプローチだったな。そこが大きい。頭とか神経系とかを使う……いや、神経がなかったら動かせないから、今までも使ってなかったわけじゃないんだろうけど。より神経を使うっていう方向で刺激されてる。

みかさ:すっごいよく考えれば、疲れるレッスンよね。

金 子:筋肉を使って動かした疲労とは、全然違う疲労感があるんですよね。

でもそのグッタリには「使ったなあ、今日も」っていう……本当に頭と神経を使うっていうことがすごくよくわかるレッスンだといつも思ってます。

みかさ:楽にできることばっかりじゃなく、「やりにくい方をやってみましょう」とか、

ちょっと刺激がありますよね。

金 子:うん。自分の体だから……まずは自分で探求する、やってみるじゃないですか。

あれが面白いときもあれば、「探求っていわれても、これしかできないんだけどな~」みたいなこともあったりとか。もう凝り固まって遊びに行けない、みたいなところもあったりとか。

みかさ:面白い。体が利く人がそういうふうに思ってるっていうのは、

ちょっと面白いですね。ちなみに最初は対面でこの大人レッスンを受けてくれてましたが、対面とオンラインだと違いはありますか。

金 子:集中の度合いで言えば、オンラインの方が自分の体に集中してるような気はします

ね。自分のテリトリーの空間で、1人しかいないということも大きいのかも。音声だけ聞きながら、本当に空間の中に1人しかいない。それで自分の体にまったり集中してる……うん、オンラインの方が私は集中してるような気がしましたね。

みかさ:意外にそうかもしれないですね。これは私の想像だけど、梓紀ちゃん、ほかの人が

いると、つい「まわりの人もちゃんとやってるかな」って気遣ってくれてたんじゃないかと思う。職業病で。

金 子:気にしないようにしてたんですけど。気になっちゃったときはあるかもしれないで

す。


大人になる中で失ったものを取り戻す

みかさ:オンラインでも最初は体験をやっていただいて、その後申し込んでくださったんだ

けど……決め手は何かありましたか。

金 子:なんだろうな。これを続けたらどうなるんだろう、自分がどう変わるんだろう……

っていうのが一番大きいかったかな。実は、そんなに大きな実感はないんですけど、いつも。何かが劇的に変わったっていうのは。

みかさ:「クララが立った」はないですね。

金 子:けれども、今までのやり方とやっぱり違う。今までと違う感覚を使って体を動かす

から、これを続けたらどう変化するんだろうなっていう興味が大きかったのかもしれないです。 あと、子どもができて大人ができないことって多いじゃないですか、体の使い方って。ダンスとかやってても、たとえば柔軟性とかって、子どもの方が百倍千倍、あると思ってて。それを取り戻せたら……取り戻せるものじゃないかもしれないけど、子どもの考えとか、発達の流れで失ったものとか。

みかさ:はいはい。

金 子:失っていることの方が多いかもなって気がしたので、それをまた思い出したら何か

変わるのかな、何かいいことあるかな~って。

みかさ:本当に、たしかにあるんですよね。神経系の「刈り込み」っていう言葉があるんだ

けど……脳は、使わない神経系は捨てていくんです。やらなくなってしまったことは、どんどんできなくなっていく。 ズリバイなんか、大人になってやるとすごいきつい。赤ちゃんのときはあんなにやったのにねって。そういうのを取り戻してみる、っていうのはこのレッスンの特徴のひとつです。


「骨盤があるべきところに収まった!」

金 子:ものすごく劇的な変化があったかっていったら、実は、特にはないんですけど。

でも……より繊細に、自分の体と向き合う時間、向き合おうとする気持ちが増えた気がするんですよね。 特に今、子どもができて、お腹に子どもがいるってなった状態になって……何だろうな、「今、ここのなんか、この細かい隙間、このへんにいる気がする!」とか。 体の奥にある触れない、見れない部分をより意識してる自分がいるな、とは思うんですよね。例えば歩くときにも「この股関節、いまこう動いてんだよな」とか。

みかさ:マニアックな(笑)。

金 子:そういう見えない自分の体の部分を、すごく意識してる自分が、日常からいて。

「ちょっと股関節痛いけど、どう動いてどうなってんだろう?」「どこが痛くってなんでこんなことになってんだろう?」「こっちが痛くてこっちが痛くないってことは、動き方がどう違うんだ?」とか。 そういう見えない、感じれない部分をより感じてみよう、って気持ちが日常的になった。増えた気がしますね。

みかさ:素晴らしいね~。今までバレエをやって、職業的にミュージカルをやって……

体を使っている時も、もちろん意識してたと思うんだけど、全然やり方が違うんじゃないかと思うんだよね。

金 子:うん、違いますね。前はやっぱり、筋肉をどう使おうか、っていうことばっかり気

にしてたと思うんですよね。ここを動かすためにはこの筋肉が必要だから、この筋肉を鍛えるには? とか。 筋肉だけに気持ちがあるというか、集中してたなと思うんですけど。でも今は筋肉じゃなくって、違うアプローチの仕方をしなきゃいけないなって……っていうふうに変わったんだと思う。

みかさ:あの、このレッスン……最初は予想もできないけど、「なんか変わりそうかも」と

思って受けてくれてるわけじゃないですか。その最初の期待に対して、今どのぐらいまで来てる感覚がありますか? その、最初の期待とか予想を100とすると、今どのぐらい変わった、みたいな。

金 子:意識としては、すごい変わった感じはするんですよね。初めてやったときは、あま

りにも実感がなさすぎて、これどうかな? と思ったんですよね。あまりにも体の実感がなさすぎて……なんか、そればっかり求めてきたから。

みかさ:あ~、はいはい。

金 子:体感的に……私あんまり、やったけど変わってないんだけど、どうしようかな、

続けて何か変わるかな、って。でもやっぱり続けてみたら、変わったなって意識が……うん、70%、80%ぐらい、変わったなって感じはある。

みかさ:すごいね。

金 子:うん。

みかさ:うんうん。すごい嬉しいです。他に、想定外の発見とか、予想してなかった効果と

か、ありましたか?

金子:レッスンの前に、必ず寝転がってスキャンするじゃないですか。あのスキャンが、

細かく感じられるようになったなって思う。それは実感があるんですよね。これ以上そんなに変わらない気がするんだよな、と思いながらやってたんですよ。「もう、わりと細かく自分の体見れてる気がする」って思いながらやってたけど……もっと見れるようになってきた、今まで見てた細分化より。いい体の見方、見る力、感じる力が養われたなって。

みかさ:声を大にして言ってほしい。

ただ寝転がっているだけなんだけど、意外に効果あるんですよね。

金 子:そうなんですよね。あれこそまったく動いてないんだけど(笑)。

みかさ:動いてない。このレッスン、汗かこうと思って受けると、びっくりするよね(笑)。

ありがとうございます。いまレッスン……38、39まで進んできてますが。

金 子:うん。

みかさ:今までの中で、印象的だったことはありますか。

金 子:骨盤をよく動かした回かな。

私、腰痛持ちなんですけど……骨盤を重点的に、前後に動かした回だったと思うんですけど。いつも最後、立ってみて、見て、歩いて、終わるじゃないですか。あの回、ハマった感がすごかったんですよね、「収まった!」って思ったんですよね。骨盤が!

みかさ:骨盤が、あるべきところに……

金 子:あるべきところに(笑)。今までも多分、何か違いはあったんだろうけど……

みかさ:うん。

金 子:あの回が劇的に……「あ、骨盤が収まるって、私の体の中でおさまるところ、ここ

か!」みたいな。それぐらい、すごいすっきり立ってた気がするんですよね。 それはたぶん今まで、いろんなストレッチとかで骨盤を動かしたりしても、なかった感覚で。すごいすっきり、自分の体に骨が収まった! っていうのが、ものすごい衝撃だったんですよね。

みかさ:収まってみると「収まってなかったのか!」みたいな(笑)。

金 子:そうそう(笑)。いっつも収まってないじゃん! って。

みかさ:はみ出してることはないから、収まってはいるんだけど(笑)。

なるほど、そういう感覚……「ここだ!」みたいな感覚になった回があったんですね。

金 子:やっぱり、体で一番大きい骨……体の中でもすごい大きな骨が、あるべきところに

収まったときに、ああ、全部が整うんだ、と思ったんですよね。

みかさ:そうね、やっぱ骨盤は大きい……大きいですよね。要っていうだけあるわ。

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