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執筆者の写真太郎 西邑

「レッスンを受けるたびに楽しくなって、どんどん前向きになったんだ」個別レッスン(後編)

体は全部つながってる!

みかさ:レッスンはじまって1年くらいですが、 1年間でこれが一番印象的ってことありますか?

奈々絵:ムービースター(片肘にもたれて上半身を起こす動き)が私はすごい印象的で。

そこからいろんな姿勢になれるんだよ、っていう話が結構印象深い。

みかさ:Yちゃん上手なんだもん、ムービースター(笑)。

奈々絵:みかささんが、ムービースターからいろいろできるんだよ、

っていうのを言っていて、どういう成長をするんだろうと思ってたら、

本当にそこからいろいろな姿勢になるから。すごく大事なことなんだなって。

どこに行ってもムービースターして、「かわいい!」って言われて。

あとは、みかささんがなんか、私の中で予言者的な感じのところがあって。

みかさ:怖い怖い(笑)。

奈々絵:「お座りするのとズリバイし出すのが一緒になったあたりが

発達的に忙しくなる」ってみかささんが言ってたんです。

実際、お座りができるようになる頃に、

本当に急にいろいろなことができるようになるんだなって。

みかさ:同時進行でね。お座りもやれるようになって、ハイハイも始まって、

高いところに登ったり、みたいな。

奈々絵:あと首座りの話で、私の中で首のまわりだけの刺激が大事なのかなと思ってて。

みかささんが膝の辺りトントンしたときに、首が上がりやすくなったっていうのを

経験して、それが凄く衝撃的でした。全部つながってるんじゃんって。

みかさ:確かに思ってもみないかもね。

奈々絵:そうなんですよ。そしてそれを「ママやってみて」と、

私に身体の動きで教えてくれたじゃないですか。

(※お子さんのレッスン中に、ママに動きをやってもらうことがあります。)

すごく理解しやすかったです。

みかさ:奈々絵さんはずっとオンラインだったので、通常のレッスン以上に

奈々絵さんにやってもらう時間が多かったし、

Yちゃんは最初の頃は疲れやすくてすぐ寝ちゃってたので、

よく奈々絵さんにやってもらってました。

奈々絵:自分がやってみた動きを子どもがやってるんだと思うと、

「この人たちはあんなに体を使ってるんだ。凄いな!」

って思うようになりましたね。

みかさ:私はオンラインでレッスンっていうのが(奈々絵さんが)初めてで、

触るのが一番大事なシェルハブメソッドなので、できるかなと思ってたんだけど。

ママがこうやって積極的に学んでくれて、実際に触ってみて変化を感じながら

楽しむことができれば、オンラインでもちゃんとレッスンができる、って……

私にそう思わせてくれたのは奈々絵さんです。

奈々絵:そんなことないです(笑)。

みかさ:そんなことあります。

Yちゃんと奈々絵さんと私とで一緒に、ああしたらどうかな、

こうしたらどうかなって探っていくことができた。

本当にいい時間でした。これからもまだもうちょっとやらせてください。

みかさ、どんな人?

みかさ:ええと、私のことを聞きたいんですけど。

レッスン前に佐々木博美さんから話を聞いたときと今では、

私の印象は変わりましたか?

奈々絵:なんだろう。佐々木さんの話で聞いたときは、大学の教授みたいなイメージ。

聞いたこともないようなメソッドをやってるし、

東北・北海道で1人しかいないっていうとすごい人なんだなって。

もう1つは、みかささん、パンフレットの経歴のところに「教員」って

書いてるじゃないですか。私、学校の先生であんまりいい印象の人がいなくて……

でも、小学校から高校までの学生生活の中で、すごくいい先生っていうのも

2人くらいいて。みかささんと会ってからの私の中の印象は、

いい影響を与えてくれた、すごく大好きな先生の印象。

みかさ:教員って書くの、やめようかな……。

奈々絵:でも逆にあれがあることで、いろんな子の障害のことを見てきたんだなって

いうことがわかったんですよ。いろいろ知ってる先生なんだろうなっていう

思いはありました。書いてもらった方が、親としては安心感がある。

みかさ:なるほど。じゃあ残しておこうかな。

奈々絵:そこは残しておいてください。残しておかないと。

でもみかささん、それだけじゃないじゃないですか。いろいろやってるから。

ほんとにもう「みかささんどんな人?」ってわからなくなっちゃいました。

みかさ:私も説明が難しい。

奈々絵:会いなさい! って思います。会えばわかる! みたいな。

本当にそういう感じです。


こんなこともできるんだ!

みかさ:今、1年間レッスンを受け続けてくれて、Yちゃんも保育所に入って、

奈々絵さんも職場復帰がまもなくで、いよいよ次の段階かな、みたいな

ところかなと思うんですけどね。

これからこうなりたい! みたいなのってありますか?

奈々絵:パパとしゃべってたのは、1年後ぐらいに歩けるようになってると

Yの世界が広がるなっていうふうに。

あとはコミュニケーション。今、結構わかることが増えてきてたから、

もっとYからの発信もそうだし、こっちからの発信もわかるようになると、

もっともっと楽しいよね。

みかさ:うんうん。

奈々絵:今も楽しいんですけど、それ以上に楽しくなるかなっては思ってました。

でもやっぱり、Yのことを低く見てるんですよね、親として。

みかさ:あ、そう?

奈々絵:すごい見てます。そうそう、これもあった!

みかささんにレッスン中に「Yちゃん、これできると思うよ」とか、 「これしないの?」って言われて。 しまい込んでたおもちゃで楽しそうに遊んでるYの姿を見て、 「できるんだ!?」とか、そういうのもあって。

みかさ:こないだ、お兄ちゃんの宿題に書いてたんですよね。鉛筆持ってやってて。

すごいすごい。

奈々絵:あれも、あ、できるんだ! みたいな。びっくりしました。

みかさ:できること、いっぱいあるよね。

一度アセスメントしましょうか。その辺もやってますから。

去年も思ったけど、たぶんもうちょっとできそうなところを

少し低めに目標をもつようにしてるかもしれないですよね、奈々絵さんね。

奈々絵:本当にそんな感じがします。

みかさ:そりゃあ未来のことは誰もわからないから、確実なことは言えないし、

ちょっと低めにしておこうかなみたいなところは感じますけど。

でも、できるから……あんまりできるって言っちゃいけない、って

ハバ・シェルハブは言うけど。本当に、それは誰にもわからないので。

だけど、すでにつかまり立ちをして、上手にしゃがむことを果敢にやってるから。

まあこれから大きな何かがないかぎり、普通にやるんじゃないかな?

奈々絵:またYの楽しいことをいっぱい発見しながら、

邪魔をせずに後押ししていけたらなと思いますね。


「一番大変なときに出会えたら……」

みかさ:他のママにもご紹介いただいてるじゃないですか。

なんて言ってお勧めしてくださったんですか?

奈々絵:「素敵な発達をするし、レッスンを受けるたびに私は楽しくなってたよ」と

言いました。で、どんどん前向きになったんだ、って話した気がします。

もともと別の方から紹介されたみたいで、

「レッスン受けようと思ってるんだ」っていうから、

「私受けてるよ」っていったら、「どんな感じですか?」って。

みかさ:なるほどなるほど。

奈々絵:まだ知名度が低いのがもったいないなーって思います。

みかさ:頑張ります! そうなんだよね。どういう人にお勧めしたいですか?

奈々絵:いやもう、生まれてすぐのダウン症の人にはお勧めですよね。

みかさ:そうね、病院でやんないかなぁ。

生まれてすぐ、ダウン症だったら佐々木博美さんと私に連絡がくるっていう。

そして先生がママに「ダウン症ですね」って言うときに横で祝福するっていう。

奈々絵:「おめでとうございます! ダウン症でよかったです!」

みかさ:っていうシステム。

奈々絵:それ最近、友達ママとしゃべることが多くて。 本当にそういうシステムがあったら最高だよねって話してました。

みかさ:どんな育児も最初がすごい大変だと思うんだけど。

その最初の時に出会えるといいですよねぇ。


制度・情報・お金のこと……

奈々絵:ダウン症育児で調べると、シェルハブメソッドより先に

児童発達支援事業所が出てくるんですよ。

みかさ:うんうんうん。頑張っておられる。

奈々絵:ただ児童発達支援事業所は受給者証の発行が必要なんですよ。

みかさ:制度だからね。

奈々絵:受給者証の発行のためには発達相談支援センターなんですけど、

そこで受給者証の発行に時間がかかるんですよ。

昔からの流れで、ダウンちゃんは1歳以降から療育っていうところもあって……。

あと、仙台市だと情報がいっぱいあるけど、ほかの地域だと情報がないんですよね。 だから「リハビリを受けたいけど、どうしたらいいんですか?」って。

みかさ:私は制度に乗っからないでレッスンをやっているので、

そういう意味では使いにくいかもしれないんだけど。もったいないね。

奈々絵:こんな支援がありますよ、っていう発信がもっとあるといいのかな。

みかさ:なるほど。シェルハブだけじゃなくて選択肢が見れるようになってるといい。

奈々絵:そうなんです。病院のワーカーさんもその選択肢がわからない。

こっちから「ここを使いたいけどどうしたらいいか」って話をすると

ワーカーさんが調べるっていう感じだったりもするので。

みかさ:その辺はちょっと進むといいですね。進むように私も勉強してみようかな。

だって、どうしたらいいかわからないですよね?

奈々絵:そうなんです。地区の保健師さんも人によるんですよね。

障害児にすごく詳しい保健師さんもいれば、そうじゃない保健師さんもいるし。

みかさ:たしかにそうだよね。私も一度、連絡をいただいたことが

あって、「障害児の赤ちゃんからのケアやってるんですか?」って聞かれて、

「はい、やってます。自費なので知らないと思うけど」って。

そしたら障害児のケアの受け入れ先が足りないんですって、やっぱり。

一度パンフレットだけは置きに行ったんだけど、そこから私も進んでなくて。

奈々絵:その自費っていうのも、ハードルが高いっていう人もいて。

みかさ:それはいるよね。

奈々絵:でも受けてみたら、私はそれ以上のものをもらった気がするんですけど。

みかさ:ありがとう。

奈々絵:いろんなママたちと、こういうのがあるよって話してて、

シェルハブメソッドの話したら、「受給者証必要なんですか」って聞かれて。

いらないけど実費なんだよって言ったら「あぁ」ってなっちゃったママもいて。

わからなくはないんですよ、障害児を産んだとき考えたことが、

どんだけお金かかるんだろうって。

みかさ:なるほど。

奈々絵:やっぱりダウンちゃんだと手術控えてたりとか。

保険も入れないんですよね、障害があると。

みかさ:保険に入れないの?

奈々絵:そうなんです。安易にいろんな保険に入れなくて、限られてきちゃうんですよね。

そこでお金の問題も、将来のこととかも気になったり。

地域によって特別児童扶養手当がもらえる年齢も全然違うんですよ。

そういうお金の問題も絡んでくるんだなって思って。

みかさ:その辺はいろんな自治体と話をしてみようかな。

奈々絵:そうなんですよね。難しい。

みかさ:本当に難しい。私はレッスンをすごくたくさんは増やせないじゃないですか。

奈々絵:そうですよね。個別だから。

みかさ:続けていける金額というのはあるんです。

奈々絵:だし、一回受けるとわかるんですよ、良さが。

みかさ:あー、ありがとう。

奈々絵:そう思いました。

みかさ:考えちゃう。考えます。皆さんに利用してもらいたい方法だし、

別にお金持ち相手だけにやりたいって思ってやっているわけではないので。

奈々絵:お金持ちじゃないですけど(笑)。

みかさ:これでも無茶な金額にはしてないつもりなんだけど、

保険も何にもきかないので、ごめんねって思ってはいる。

奈々絵:病院にみかささんがいればいいんだと思いました!

みかさ:みかさ、病院勤めできないよ?(笑)

奈々絵:みかささんがあと5人いて。

みかさ:5人? 人の迷惑じゃない?(笑)

奈々絵:本当に。5人いて、各病院に配置されてて。

みかさ:ドクターに、今度の赤ちゃんダウン症持ってるねって言われたら

「わかりました!」って、今度お母さんが来るときに一緒に行って、祝福する!  

奈々絵:で、NICUのあのベッドの上でぽんぽんむぎゅをする。

みかさ:そうなるといいねえ。

奈々絵:本当にそうです。一度受けたら癖になります。

みかさ:怖い怖い(笑)。

あ、ごめんなさい、長い間……1時間以上経っちゃった。

ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

ダウン症をもつ方々は身体の使い方で苦労されることもあるかと思います。

ぜひ長くお付き合いさせていただければと思うので。

奈々絵:いや、本当にみかささんありがとうございます。お願いします。

みかさ:ぜひです。またレッスンか、おさんぽで会いましょう!

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