こんにちは、シェルハブ・メソッドしおがま
「文章担当」スタッフの太郎です。
突然ですがみなさま、タケノコって掘ったことありますか。
「タケノコの探し方」ってご存じでしょうか。
また、タケノコの探し方をご存じの方は
それを上手に子どもに教えることって、できると思いますか?
私、子どものころよく祖父母のタケノコ掘りについていってたのですが、
横で見てると「魔法か?」ってな感じだったのです。
タケノコってこう三角のツノの形で、地面からニョキニョキっと、だんだん出てきますよね。
だから三角が見えたら「あっタケノコだ」とわかります。
私もそういうの発見しては「あったよ!」と祖母にお知らせしておりました。
が、ことごとく「それはもう育ちすぎ」と言われてしまうのです。
もうおいしくないんだそうです。
えー。ってなります。
あっ、これはさっきのより小さいですよ?
え、これもダメ? これもまたダメ?
つぎつぎ却下される一方で、祖母はなーんにもなさそうなところから「ほらあったよ」とタケノコ掘っております。
なんでわかるの?見えないよ!わかんないよ!
「足の裏で探すんだよ。踏んだらわかるよ」
今も覚えております。衝撃でした。「天才」と思いました。
地面をちょっとずつ踏んでいったら、落ち葉や土なんかが積もった地面の下で
タケノコの頭が「ちょん」と尖ってるところがある。
その「ちょん」とした感覚を探すんですね。
でも、マネしてみたんですが、いっこうに発見できませんでした……。
かなり真剣に、祖母の足の曲げ方とかをマネしてた記憶があります。
やってみたい気持ちはあったのです。カッコいいと思ったのです。
でも小学生はまもなく「やーめた」になってしまい、竹を使ってアクロバティックな動きができないか探しに行ってしまいました。残念でした。
いろいろ知識が増えた今になってみると、
「踏ませてもらえばよかったなー」って思います。
まず、祖母が発見したタケノコの頭をちょんと踏んでみる。
一から自分で探すのではなくて。
祖母が「踏めばわかる」といったのは、
足の裏の「触覚」や「圧覚」を通して
いま踏んだ地面にタケノコがあるか、ないか、区別できる
ってことなんですよね。
それには「足の裏の感覚がよく働いている」ということはもちろん、プラス、
「タケノコ踏んだことがある」
という体験をくり返す必要があります。
「タケノコの頭を踏むとこんな感じがする」
「タケノコのある地面と、ない地面とは、こんなふうに違う」
っていうのを、何回も何回も、そして(山の地面は場所によってデコボコ感なんかも違いますから)いろんな場所で、体験してみる。
祖母はたぶん、何十年もタケノコ掘りに通う中で、その体験を積み上げていったのだと思います。
一年に数日ずつ。それでも足の裏がタケノコの感覚を忘れないくらい、たくさん。
なぜ「足の裏でタケノコを感じる」なんて、特殊な状況の話をしたかというと、、
「タケノコ踏んだことある!をくり返す」
という学び方は、動きの発達が起こる時ととても似ているからです。
どちらも「体験」を通して
「自分の感覚で知る」ことがないと、
できるようにならない、というところが似ています。
20年~30年くらい前までは
赤ちゃんが寝返りやハイハイをはじめたり、歩けるようになったりするのは
脳の中にある、その動きを担当する部分が成熟するからだと考えられていました。
そうじゃなくて、赤ちゃん一人一人が
「試行錯誤して、動き方を見つけているんだ!」
という研究を発表したのは、エスター・セレン(Esther Thelen)博士でした。
セレン博士の研究によって、それまで医療の分野だった
「子どもの運動の発達」というテーマが
「知覚や認知の発達と相互作用しているもの」
と位置づけなおされて、発達心理学の世界にやってきたのです。
ちなみに、生まれたての赤ちゃんが動きを学んでいく時にも
「タケノコを踏んでみる」
みたいな、ポイントになるものがあります。
それは「ちょっとかための床に寝てもらう」です。
タケノコ探しに必要な感覚は「足の裏の触覚と圧覚」でした。
赤ちゃんにとって手がかりになる感覚は
「全身の固有覚(筋肉や骨の位置、動きを感じる感覚)」と、重力の感覚、
そして「床」です。
「床に体を押しつけると、反動でちょっと動く」
「ほかの部分が連動して動く」
・・・それが、赤ちゃんが「この体、こうやると動くんだー」と気づく初めの一歩です。
動きの発達はタケノコ探しより、うんと複雑。
なのに、そんな小さなこと? 準備それだけ? と思うかもです。私もちょっと思います。
(あっ、シェルハブで必ずご紹介するタッチの方法「ぽんぽんむぎゅう」は、固有覚のお手伝いになります。過去にみかさが書いたブログに、ぽんぽんむぎゅうの説明がありました。https://shelhav-shiogama.wixsite.com/main/post/200621)
でも、赤ちゃんのすごいところは
試せる環境さえあればずーっと「なんかならんかな?」って試しているところです。
何となくモゾモゾしているだけに見えるときも
床と重力と自分の動きの関係を試しています。
逆に、「体の動かし方」というのは
どんなにがんばっても大人が「かわりにやってあげる」ことはできない、ってことでもあります。
むしろ「いつも動きの実験をしている人なので、邪魔しない」
くらいの気持ちが、ちょうどいいのかもしれません。
Comments